2025年8月2日(土)、保健師職能集会がWebにて開催され、全道から129名と多くの参加者が集いました。本集会では、保健師活動の今とこれからを考える視点として佐伯和子氏(北海道大学名誉教授)による講演と、角谷里佳氏(前稚内保健所健康推進課長)による稚内保健所管内の実践報告が行われました。
人口減少社会や多様化する地域課題のなかで、保健師が直面している現状と、今後の役割について熱いメッセージが伝えられました。
佐伯教授は、日本の保健師活動が海外でも高く評価されていることを紹介しながら、その一方で「成果の見えにくさ」や「働きがいの低下」が課題となっている現状を指摘しました。特にTHE LANCET誌において「日本の隠された秘密」として保健師の活動が取り上げられたことに触れ、現場の保健師が自らの仕事に自信ややりがいを持ちづらくなっている現状とその社会的意義を再認識する必要性が強調されました。
講演では、保健師活動が直面する「5つの危機」として、
が挙げられ、大学、養成所、大学院など教育ルートが多様化する中で、保健師志望者の職業理解が不十分なまま現場に出る傾向や、少子化による志願者の減少などが人材育成と定着に影響していることが示されました。
また、マネジメント業務の増加により、マネジメント力をいかにつけていくかということや精神的な負担や職務の多忙さの現状の中、働きがいをいかに作っていくのか課題となっており、職場での対話の重要性や心理的安全性の確保、ジョブ・クラフティング(仕事の意味づけの再構築)を通じた自己成長の促進が必要であるとされました。危機に直面する中で、危機とどう向き合うか、危機を乗り越えることで得られるものがあることが強調されました。
保健師の本質的な専門性は「個別支援にとどまらず、地域課題を構造的に捉え、制度や仕組みとして還元していく力」にあるとし、評価力、対話力、人間力を磨く必要性が強調されました。保健師活動の「見える化」に向けては、量・質的データの活用やロジックモデルによる整理を通じて、保健師活動の成果を地域社会に分かりやすく還元することが重要であると語られました。
角谷里佳氏から宗谷管内における統括保健師間の連携を軸とした人材育成の取組を紹介しました。宗谷地域では、町村保健師が主導して企画・運営する現任研修が実施され、これまでに186回開催されていることなど、世代を超えた学びの場が確保されていること、若手保健師が直面しやすい「5年目の壁」や離職傾向に着目し、管内全体で対話を重ねながら支援体制を整備してきたこと、活動事例集の作成によって知見の継承も図られていることなどが紹介されました。統括保健師間の密な連携と信頼関係が、協力し合える風土を形成しており、保健師が活躍できる地域づくりにおいてリーダーシップを発揮していることが印象的でした。
Webによる講演の様子
左から、石川保健師職能理事、佐伯和子氏、高橋会長この集会を通じて、保健師活動の意義と可能性を再認識するとともに、危機を乗り越え成長へとつなげていくためには、「対話」と「つながり」が鍵であるというメッセージが強く伝わりました。今後もこのような学びと共有の場を大切にし、北海道の地域保健を支える保健師の活動がさらに発展していくことが期待されます。