2025年度 アドバンス助産師交流会 開催報告
  ~災害時の産科管理~災害時、母子をどう支えるか~

日 時:2025年11月22日(土)9時30分~15時00分
会 場:北海道大学病院 症例検討室

2025年11月22日㈯に北海道大学病院症例検討室にを会場にアドバンス助産師交流会が開催され、全道各地から29名の参加者が集いました。
北海道看護協会川渕ゆかり常務理事の開会挨拶につづき、公益社団法人日本看護協会常任理事井本寛子氏と北海道病院産婦人科学教室助教齋藤良玄氏による講演が行われ、グループワークでは各施設の災害対策の現状を共有し、講演での学びを基に有事の際でも安全で安心な出産環境の提供および母子保健が守れるよう意見交換が行われました。

講演1:『分娩取り扱い施設における災害発生時の対応マニュアル作成ガイド』の解説
    公益社団法人日本看護協会 常任理事 井本寛子氏

改訂版となる「災害発生時の対応マニュアル作成ガイド」の紹介と改訂の経緯ならびに構成と特徴、活用方法について講演がありました。
周産期領域に特化した災害マニュアルは整備されつつあるものの十分ではないことや、産科関連の混合病棟化にともない周産期に特化したマニュアルが必須であることなど、最新の知見や時勢に合った内容に改訂されたことが紹介されました。
また井本氏からは、ガイドには災害時でも安全で安心な助産ケアの提供ができるよう具体的な方法や"平時からの備え"の重要性が示されており、各施設で平時から体制整備が進めていけるよう、参加者と共にガイドの活用方法における視点を確認しながら、講演いただきました。

井本氏(Web)の説明にガイドを確認する参加者

講演2:『災害時の母子支援の実際と助産師・管理者の役割』
    北海道大学産婦人科学教室 助教 齊藤良玄氏

小児周産期領域における災害対応の実際や、震災で顕在化した周産期医療・母子保健の課題から、災害時小児周産期リエゾンの設置や周産期領域の地域BCPの重要性、今日からできるBCPについて講演がありました。
齊藤氏は、能登半島地震の経験から、災害時に病院機能と併せて母子保健体制の再構築をすすめることが重要であることや、平時からの準備として要配慮者となる乳幼児、妊産婦へ自助・共助の意識を高めて減災力を向上させるとともに、災害時にも活用できる管理体制の工夫と備えが重要であると話されました。
また、北海道大学病院産科病棟で作成したアクションカードや病棟内で実施しているHUG(避難所運営ゲームを病棟版にアレンジ)の取り組みが紹介され、普段の教育・連携・会議・ツール・ネットワークが「災害でもそのまま使えるようにしておく」ことが最強のBCPであり、母子の安心と命を守ることにつながることだと述べられました。

小児周産期領域の災害時における助産師の役割は重要と話す齊藤氏

グループワーク

ふたつの検討テーマで話し合われ、⒈各施設の状況、既に行っているまたは今後実践予定の取り組みを共有。自施設の問題・課題を明らかにするでは、「災害時における産科部門の対応マニュアルの整備」や「自施設のBCPに対する理解向上、スタッフへの周知が必要」などの意見が発表されました。⒉地域連携や自施設での妊産婦への防災意識向上のための取り組みを考えるでは、「病院の役割、災害時の受け入れに関する情報など周知、医療機関や地域(多職種)とのスムーズに情報共有できる体制の整備(妊産婦、医療的ケア児の情報共有)」や「妊婦保健指導の機会にパンフレットの活用や、待ち時間に動画の閲覧などで情報提供、入院中の同室指導の機会にレスキューママを紹介するなど日頃から意図的な減災意識を高める関わりを持つ」などの意見が聞かれました。

グループでまとめられた意見を発表する参加者

まとめ

閉会にあたり岩上知映助産師職能委員長より挨拶があり、今日の講演とグループワークを通して、平時から防災・減災を意識した取り組みを積み重ねることや、施設間ならびに地域との繋がりや交流が重要であることを再認識することができ、今後も交流の機会を大切に情報交換できる関係性を繋いでいきたいと述べられました。

閉会挨拶する岩上助産師職能委員長

報告:助産師職能委員会