教育枠組み

日本看護協会が平成17年度より提示している「専門職業人としての看護職に必要な能力の全体像」を基本におき、各研修プログラムを研修領域で分類し整理している。また、学習者・研修受講者の看護実践段階に応じているため、Ⅰ~Ⅳの学習段階を設定している。

専門職業人としての看護職に必要な能力の全体像(コンピテンシー)

項目 内容
専門的・倫理的・
法的実践
説明責任 自己の責任と能力を的確に認識し、実施した看護について個人としての責任をもつ
倫理的実践 人間の生命、人間としての尊厳および権利を尊重し、看護者の倫理綱領に基づいて看護を実践する
法的実践 医療法、保健師助産師看護師法に基づき、日本看護協会などのガイドラインに沿って実践を行う
看護の提供と
マネジメント
看護の主要原則 専門的知識に基づく判断を行い、系統的アプローチを通して個別的な実践を行う




アセスメント 看護過程を展開するために必要な情報の収集・分析と健康問題の判断を行う
計画 看護上の問題の明確化と解決のための方策を提示し、問題解決のための方法を選択する
介入 利用者へのインフォームドコンセント、直接的看護方法・相談・教育を実施する
評価 実施した看護の事実に即した記録作成、実施した看護の評価、計画の修正・再構成を行う
コミュニケーション
と対人関係
対象となる人々に対して、適切なコミュニケーションと対人関係技術によって治療的関係を築く
健康増進 すべての人々を対象として身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態に到達するために、個人や集団が自己の目標を確認・実現し、ニーズを満たし、環境を改善し、環境に対処できるよう援助する







安全環境 対象となる人々へ安全な看護を提供し、人々が危機的状況にさらされているときは、保護し安全を確保する
専門職種間の協働 他の看護者および保健医療福祉関係者とともに協働して看護を提供する
委任と管理 他の看護者および保健医療福祉関係者に委譲する場合には、自己および相手の能力と実践可能範囲内の活動を正しく判断し、委任し管理する
専門能力の開発 専門性の強化 研究や実践を通して、専門的知識・技術の創造と開発に努め、看護学の発展に寄与する
質の向上 看護業務の質を評価する際に、妥当性のある根拠を用いて、質の向上のための取り組みに参加する
継続教育 常に、個人の責任として継続学習による能力の維持・開発に努める

研修領域

看護者が個々の看護実践能力に合わせて自身で必要な研修を選択することができるよう、研修の段階を設定し、また高めていきたい専門領域の内容を系統的に学習することを支援するために、研修を領域別に分類した。

1 看護共通 看護実践の場で共通し、基本となる専門的・倫理的・法的知識や看護技術に関する内容
2 がん看護 がん患者とその家族のアセスメント、看護技術やケアマネジメントおよび在宅移行支援、倫理的実践に関する内容
3 成人看護 成人急性・慢性疾患患者の看護、自己管理への援助やリハビリテーションに関する内容
4 老年看護 高齢者に特徴的な健康問題、その家族についてのアセスメント技法、症状緩和および日常生活の援助に関する内容
5 精神看護 精神障がい者および精神的健康について援助を必要としている人々への看護に関する内容
6 地域看護 地域における保健・医療・福祉におけるコーディネート機能、マネジメント機能に関する内容
7 小児看護 子どもの健全な育成および健康障害を持つ小児やその家族のアセスメント、看護技術、他職種との協働、調整に関する内容
8 母性看護 女性の健康の保持増進や周産期ケア等の援助方法に関する内容
9 看護管理 看護者としてのリーダーシップ、調整、カウンセリング、教育など実践能力に関するものと医療経済、組織管理に関する内容
10 養成研修 養成に関する内容
11 指導者研修 都道府県看護協会や施設における教育担当者や教育指導者に必要な教育内容や指導方法に関する内容

<北海道委託事業><インターネット配信研修><看護補助者研修><認定看護管理者教育課程>は別枠で設定する。

研修の学習段階

研修の学習段階は、日本看護協会の研修会の段階設定の指標(平成14年度ジェネラリストのためのクリニカルラダー:日本看護協会基盤整備研究)に準じ、看護実践能力を4つの段階に設定した。

この指標を用いてそれぞれの看護者が、自らの実践段階と対比させ、自身が学びたい学習内容を含んだ研修を選択できるように段階を提示した。※段階を設定しない研修会もある。

ステージ 指標 研修のねらい
I 指導や教育のもとで、基本的な看護を安全に実践できる。指導を受けることにより自己の学習課題を見つけることができる。 看護実践者として基本的能力を体得し、看護専門職としての感性や態度を養い、専門的知識や技術を身につけ、長期目標や優先度を考えて個別性を重視した看護を考える研修とする。
II 看護実践の場面において単独で看護を提供できる。チームリーダー的な役割や責務を認識し遂行できる。自己の学習課題に向けた学習活動を展開できる。 各看護学等専門分野における体験を活かし、より質の高い看護サービスを提供できるための実務、能力開発研修。全体の状況を見ながら、チームの中での統率力・指導力が発揮できる。対象に起きている現象を概念化でき看護の技術の改善や創造性を培う研修とする。
III 高度な看護活動を実践でき、かつ他者にモデルを示すことができる。自己の学習活動に積極的に取り組むのみならず、指導的役割を発揮できる。 より質の高い看護サービスを提供するための実務・能力開発研修。全体の状況が見えながら積み重ねた経験と学習を統合させた看護の質的改善や創造性を高める研修とする。
IV 論理的かつ実践的知識を統合して卓越した看護を実践し、所属を超えてリーダーシップを発揮できる。自己の学習活動はもとより組織的な教育・研究活動を主体的に実践できる。 管理・教育・調整・協同・倫理的能力を開発・発展させ、関係他職種との連携・調整役として能力を発揮できるための研修とする。